「花咲舞が黙ってない」を読んだ感想【花咲舞シリーズ】

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こんにちは、keiです。

本書は全7章からなる短編小説で、各章が一部つながっているという構成になっています。
時系列としては「オレたちバブル入行組」などの半沢直樹シリーズよりも数年前で、東京中央銀行の元となった東京第一銀行が物語の舞台です。
この東京第一銀行事務部臨店指導グループの花咲舞と同調査役である相馬健が、臨店先で隠されている不合理を明らかにしていく、というのが各章共通のストーリーとなっています。

各章について、軽くあらすじをまとめていきます。

では、行きましょう!

「花咲舞が黙ってない」あらすじ

第一話 たそがれ研修

舞と相馬は上司である事務部部長の辛島から、赤坂支店に向かうように指示される。

話を聞くと、赤坂支店が融資している外食チェーンのレッドデリの内部情報が外に漏れている可能性があるとのことで、その調査を命じられた。
レッドデリが新規出店を計画していた同じ場所に、同じく外食チェーンの喰らうど亭が先んじて出店するということが相次いだのである。

出店計画は赤坂支店にしか提出されていないため、当然赤坂支店が疑われるのだが赤坂支店からは怪しい人物は見当たらない。
そんな時、意外なところから犯人が浮かび上がってくるのである。

第二話 汚れた水に棲む魚

銀座支店でトラブルが発生していると聞いた舞と相馬はさっそく臨店に向かう。

銀座支店の主要取引先であるアクアエイジという会社への入金手続きのトラブルによりアクアエイジが外注先に支払いができなくなっていた。
臨店後、舞と相馬はその外注先に謝罪に向かうが対応が悪く、普通の会社とは思えなかった。

アクアエイジとその外注先の秘密に迫るのである。

第三話 湯けむりの攻防

舞と相馬は、今度は別府支店に向かう。

その宿泊先は別府有数の老舗旅館で、社長の八坂から温泉街を盛り上げていくための融資をお願いしているが難航していると聞く。
一応別府支店長に相談するがあまりいい返事はもらえない。

一方で、企画部長の紀本平八の特命調査役の昇仙峡玲子は、頭取である牧野治と紀本とともに同じく別府の旅館の一室で極秘の会合に出席していた。
会合の相手は産業中央銀行の頭取である景山と半沢直樹である。

この会合の目的とは、また、老舗旅館の融資はどうなるのか。
東京第一銀行と産業中央銀行のせめぎ合いが始まるのである。

第四話 暴走

新宿東口の繁華街に暴走車が突っ込み、重軽傷者が30人超発生するという事件が起きた。

犯人は四谷支店で住宅ローンを申し込んでいたが断られており、その事実をつかんだ警察が事情聴取を行うというのである。
舞と相馬は四谷支店に出向き、様子を確認するように命じられる。

果たして犯人の動機は住宅ローンなのか、その先にある不合理を追及していく。

第五話 神保町奇譚

神保町支店に臨店で訪れていた舞と相馬は、近くにある居酒屋でビールを飲んでいたところ、居合わせた老婦人と店主との話が聞こえてくる。
聞けば老婦人の亡くなったはずの娘の銀行口座に、数千万円という単位で入出金が繰り返されているようである。

だれが入出金してるのか、その目的とはいかに。

第六話 エリア51/第七話 小さき者の戦い

東京第一銀行がメーンバンクを担っている大手電機メーカーの東東デンキが、巨額粉飾の疑いで新聞記事に取り上げられた。
東東デンキの融資担当いわく、財務分析では見抜けず監査法人の監査もパスしているとのこと。

粉飾は本当に見抜けなかったのか、銀行が抱える不正融資の闇に迫る。

「花咲舞が黙ってない」感想

本書は以下の人におすすめです。

  • 金融ものを軽く読んでみたい人
  • 半沢直樹シリーズが好きな人
  • 半沢直樹シリーズの過去を知りたい人

逆に以下の人はあまりおすすめしません

  • 伏線をいくつも回収していくストーリーが好きな人
  • 登場人物の背景を深堀したい人

本書は短編集なので、当然ながら一話ごとの深みはありません。
つじつまが合わない部分が一つだけあり、舞と相馬の二人の調査によりその理由が明らかになって終了、といった具合です。

僕個人としては、東野圭吾の「白夜行」や「幻夜」のような長編ミステリーが大好きなので物足りなく感じましたが、各話50から60ページぐらいでテンポよく進んでいくので、軽く読みたいといった方やまだ読書に慣れていない方は読みやすい本だと思います。

また冒頭でもお話ししたように、本書は半沢直樹シリーズで登場する東京中央銀行の元となった東京第一銀行が舞台となっています。
最近のドラマでも活躍(?)した紀本常務や牧野副頭取、中野渡頭取が現役職になる前の様子が描かれています。
半沢直樹自身も次長ではなく調査役の優秀な行員として、別府の極秘の会合に中野渡に同行しています。

花咲舞シリーズはいくつかあり、半沢直樹シリーズよりも新しい作品も出ているので、そちらでもっと詳細に描かれているかもしれませんね。


今回は以上です。
最近、Kindle Unlimitedに加入して花咲舞シリーズの新しい作品も読めるようになったので、また感想をまとめようと思います。

アイキャッチ画像の出典:ivabalkによるPixabayからの画像

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