こんにちは、keiです。
マネーロンダリングの書評です。
ミステリー好きの人にはたまりません。
この本がおすすめな人
- 金融や税金の話が好きな人
- ミステリーなど推理小説が好きな人
あらすじ
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工藤秋生(主人公)は日本の都市銀行やニューヨークの投資銀行、ヘッジファンドを経て、フリーランスとして香港で日本人相手に海外金融機関の口座開設などのファイナンシャルアドバイザーをして生計を立てている
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そこに若林麗子と名乗る謎の美女がやってきて、日本法人での5億円の利益を海外法人に税金を払わず送金したい、という脱税の指南を依頼する
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10日間にわたり、麗子に脱税のスキームを指南する
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四か月後、秋生のもとに黒木誠一郎というケー・エス物産専務取締役、裏の顔をヤクザの若頭から連絡があり麗子のことを尋ねられる
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麗子は5億円ではなく50億円を海外送金したあと行方をくらまし、同時に口座も閉鎖したことを知らされる
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その50億円には黒木の資産も数十億円含まれており、黒木激おこ
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報酬5億円を条件に麗子から50億円を取り戻す相談を受け、麗子の捜索しに日本に行く
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恩田調査情報という調査会社と協力して麗子の過去を調べ、事件の真相を明らかにしていくのである
本書の感想
良かった点
- 伏線はすべて回収されるので読み終わった後のモヤモヤは少ない
- 金融や税金に興味を持てる
- 本編は文庫本で546ページもあるが、物語の中盤以降からスピード感がありサクサク読める
イマイチだった点
- 物語序盤の描写が細かく、進みが遅いため退屈に感じる
- 金融や税金の話が難しい(ぼく自身の知識不足もありますが、、、)
- 悲しい
所感
タイトルからわかる通りお金が大きく絡んでくる小説です。
特に日本と海外とのお金のやり取りにフォーカスされており、今まで知らなかった世界の話に多少戸惑いましたが素人にもわかるように細かく描かれていました。
また、物語の真相には麗子の過去大きく関わっており、徐々にそれを明らかにしていくミステリーの要素も含まれていてこの点だけでもとてもおもしろいとおもいます。
本作品の名言
最後に、ほかの方の書評でも書かれている、本作品の名言を紹介します。
秋生は定期的に仕事を受けている倉田老人という資産家から、
「資産運用に成功する方法は何か?」
と問われ、
「資産運用しないことと、税金を払わないこと」
とこたえています。
「資産運用しないこと」は納得できませんでしたが「税金を払わないこと」については確かにな、とおもいました。
サラリーマンであるぼくが節約できる税金は現在、
・ふるさと納税による控除
・DC(確定拠出年金)のマッチング拠出による控除
あたりです。
それぞれ12万円、8万円(所得によるが仮で)、12万円控除できるとすると、ざっくり6.4万円程度の節税にしかなりません。
サラリーマンである限りこの構図は変わりません。
これが個人事業主になれば、事業活動でかかった経費を雑費として計上できたり、海外で働けば住民税もかかりません。
したがって税金を払わないためには、自身で確定申告しなければいけない所得の割合を増やしていく必要があり、それが資産運用に成功している状態、と理解しました。
以上です。
次は同じく橘玲著「永遠の旅行者 上・下」を読んでみたいとおもいます。
この作品は「マネーロンダリング」や「タックスヘイブン」との話のつながりも多少ある、という記事もあったので楽しみです。
アイキャッチ画像の出典:Gerd AltmannによるPixabayからの画像