こんにちは、keiです。
- ここまで頑張ったんだから諦めるのはいやだな。でもつらいな。。。
- もう諦めたいけど周りに何か言われそうだな
- 諦めるとしてそのあとどうしよう
本著は元陸上競技選手で400mハードル日本記録保持者である為末大さん著の「諦める力」の書評です。
この本を読むと、その悩みをポジティブにとらえて一歩前に進めるかもです。
では、行きましょう!
諦めることは悪いことではなく、ただ選び直しただけである
「諦める力」で伝えたいことはただこれだけです。
これを多くの言い回しで解説しているので、その一部を紹介します。
「諦める力」の書評
“諦める”という言葉の語源は“明らめる”
“諦める”という言葉を聞いて、みなさんはどのような印象を受けますか?
- “スポーツ選手になるのを諦めた”
- “夢を諦めた”
こんな感じのネガティブなイメージじゃないですかね?
でも「諦」という字を漢和辞典で引くと、「あきらかにする」「さとり」といった意味が最初にきます。“諦める”とは本来ポジティブな意味で使われていたのだと思います。
自分の才能や能力、置かれた立場を明らかにしてよりよい姿を目指していく、という意味です。
したがって、諦めるということはそこで“終わる”とか“逃げる”という悪いことではなく、現状を明らかにして次のステップへ進んでいくことなのです。
“諦める”,“やめる”は新たに選ぶこと、決めることである
高校生までの為末さんは、100m走において日本人同年代ではトップクラスの実力者でしたが、高3になってから400mハードルに転向することに決めました。理由は為末さんにとって400mハードルが世界と戦っていける種目だと考えたからです。
たしかに高校生まではトップクラスでしたが、為末さんのタイムは中学生のころからあまり伸びず、ライバルとの差がどんどん縮まっていました。競技人口がほかの種目よりも圧倒的に多い100mでは将来戦えなくなると分析した為末さんは、まだ勝ちやすい400mハードルを選んだのです。
勝ちやすいから400mハードルを選んだというと周りはこう言うでしょう。
「動機が不純だ」
日本人は特に“動機の純粋さ”を求めがちですが、それは勝負に勝ったうえでなければ何の意味もありません。
ひとつ、ロンドンオリンピック女子レスリングの例を紹介します。
女子55キロ級には吉田沙保里さんとう絶対王者が君臨していました。一つ上の63キロ級の伊調馨さんも圧倒的な強さを誇っていますが、伊調さんが55キロ級で戦っていた時、伊調さんは吉田さんにほとんど勝てなかったそうです。伊調さんが世界の頂点に立ったのは吉田さんとは違う階級に移ってからです。
つまり為末さんも伊調さんも、世界で勝つために100mや55キロ級を諦めて400mハードルや63キロ級を選び直したのです。
“諦める”のは手段だけであって目的を“諦める”のではない
取り組んでいることはどんな目的でやっていますか?
前述の通り、為末さんは“勝つため”、さらに深掘ると“世界を驚かせたい”という目的がありました。
たしかにずっと続けてきた花形競技の100mを諦めることには大きな葛藤があったと思います。しかし為末さんは“勝つことを諦めない”代わりに“100mを諦める”という決断をしたの
ここで諦めたのは“手段”である100mであって、“目的”である勝つことは諦めていません。
多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないのだろうか
諦める理由は飽きたからでもいい
日本では“諦める”“やめる”ことの背景に、自分の能力が足りなかったからという負い目や敗北感を強く持ちすぎではないだろうか?
- “ある分野で優秀な人は違う分野に行っても優秀なはず”
- “裏を返すとこの分野でだめだった人は違う分野でもどうせだめだ”
といった具合。そうではなく、
- “ただ合わなかっただけ”
- “これは自分に合わなかったけど、合うところにいけばもっと成長できるかもしれない”
こうした発想がもっと広がればいいと為末さんは言っています。
その例としてiPS細胞を開発した山中伸弥さんが紹介されています。
山中さんは神戸大学医学部を卒業後、整形外科医を目指して研修医として働き始めました。しかし、ほかの研修医が20分で終わらせられるような手術に2時間もかかるほど下手だったそうです。
自分は整形外科医を続けるには決定的に何かが欠けていると考えた山中さんは研究者となるために別の大学に入学し、その後の活躍は皆さんの知る通りです。
このように、人には必ずその人に合う分野があるはずで、“諦める”とはそれを探す過程の一つに過ぎないのだと思います。
以上です。
「ここまで頑張ったんだからあきらめたくない。でもつらいな。。。」「もうやめたいけど周りに何か言われそうだな」「やめたあとどうしよう」
そう思っている方はぜひ、本著を読んでみてください。
一歩踏み出す手助けになればと思います。
アイキャッチ画像の出典:Tania DimasによるPixabayからの画像
画像の出典:Katerina LimpitsouniによるunDrawからの画像